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神戸地方裁判所 昭和39年(行ウ)7号 決定

原告

山道孝保

被告

大阪国税局長

右当事者間の課税処分取消請求事件について、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

この事件を大阪地方裁判所に移送する。

理由

原告の本訴請求は、原告に対する昭和三七年度所得税課税処分に関する原告の審査請求について、被告のなした請求棄却の裁決の取消を求めるものである。

原告は、右裁決は大阪国税局協議団神戸支部の議決に基づいてなされたものであるから、行政事件訴訟法第一二条第三項により当裁判所に特別管轄がある旨主張するが、大蔵省設置法第四五条によると、国税局協議団は国税局長の附属機関とされており、国税局長の下級行政機関とは解せられない。そして、国税局協議団支部なるものは何ら法令上の根拠を有せず、そうすると、通常一定の人的、物的施設にそのような名称が附せられているとしても、それは国税局協議団の職員がその事務を行う便宜上、一定の場所に派遣されているに過ぎないものと推認される。従つて、「大阪国税局協議団神戸支部」は、行政事件訴訟法第一二条第三項にいう「事案の処理に当つた下級行政機関」に該当せず、当裁判所はこの事件につき、右条項による特別管轄を有しない。

なお、被告は未だ本案につき弁論をなしていないから、民事訴訟法第二六条による応訴管轄を生ずる理由はない。 そうすると、本件訴は行政事件訴訟法第一二条第一項により被告行政庁の所在地である大阪地方裁判所の管轄に属する。

よつて、民事訴訟法第三〇条第一項に基づき、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 原田久太郎 裁判官 林田益太郎 裁判官 尾林滋)

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